かばのはこ

病気の子どもと過ごす生活の知恵!

【小学1年生】クラスの友達に娘の病気をどう説明すればよいか

娘は小児慢性特定疾患を患っていますが、見た目には分かりません。

しかし、生活するにあたっていろいろな制約があります。

私は、普通の一般的な日本の学校で育ちました。そんな、自分の生活を思いだしてみても、クラスの大多数のやるべきことと違うことをする友達には「どうしてだろう?」「なんでかな?」と子どもらしい残酷な疑問を持ったものです。

幼い頃の自分がもった、無邪気で残酷な疑問はきっと娘にも向けられるに違いありません。それをどうやって乗り越えさせればよいのか、私の子育てのテーマの一つでもあります。娘が病気になってからずっと考えてきました。

そんな、娘の病気のカミングアウトについてダラダラ書いてみたいと思います。

 

最初の難関は、幼稚園

入園前から、園長先生、主治医と相談し、どうクラスの友達に病気を伝えるかを考えました。そこで出た結論は、、、

保護者会で、必要最小限のことだけ伝えようということでした。それは以下の内容です。

  • 持病があり体が弱い。
  • 元気な時とそうでないときの差が他の子より激しい。
  • 風邪をひきやすく悪化しやすい。
  • 元気でも幼稚園を休むことがある。
  • 元気に街をふらふらしていても、休まなきゃならない事情があるので暖かく見守ってほしい。

同じ病気のお子さんは、はっきりと病名を告げ、クラスの保護者・友達に理解をはかることにしていました。私も最初はそうしようと思いました。

しかし、「人間関係が築き上げられていない保護者の方々に、聞き慣れない病名を伝えたところで何かかわるのか?」そんな主治医の問いかけがずしっと重くのしかかりました。そこで、必要最低限のことだけ伝えることにしました。

中でも一番強調したのがこれ、

「元気だけど幼稚園を休むことがある」

この項目だけはどうしても伝えたかったのです。

  • 幼稚園に行けるほどの体力はなくても、散歩くらいはさせたい。
  • 外食くらいは気分転換にさせたい。

そんな思いから、平日でも自信満々に街を歩けるよう自分のためにも言うことにしたのです。

難しい病気なので、患者家族である私たちでさえ理解することが困難です。気遣いと誤解によって娘が鳥かごの中に入ってしまうような生活の方が、成長を妨げるのではないかと考え病名を伝えるのをやめました。そのかわり、人間関係ができていくうちに、病名を伝えるタイミングが自然に発生することを期待することにしました。

事実、そうなりました。あまりにも幼稚園を休むので、助けてくれるクラスの友人が一人、また一人と増え、じっくり話す機会があり、娘の病気について丁寧に伝えられることができました。と言っても、それに要した時間は1年以上かかりましたが、無用なストレスは避けられました。

保護者会の中で一斉に説明したらきっと誤解と余分な心配をかけ、私自身も考えなくてもいいことまで考えたと思います。

小学校の保護者会で病名を伝えるかどうか迷う

幼稚園の時は、よく悪くも子どもたちは自己中心的です。他者との違いに気づくことがあっても、娘自身も友達もあまり深く考えません。ところが、成長に伴い「あの子は自分と違う」ことが気になってきます。特に女の子は敏感ですね。

親の目が離れるからこそ、保護者会で娘の病名を伝え理解してもらい助けてもらったほうがいいのかなと迷っていました。

そんな時、またもや主治医の名言が、、、

「病名を伝えるより、まずは、○○ちゃん(娘)を知ってもらうことが大事じゃない?」

「病気によって体調を崩すことはこれから何度もある。でも、元気な時もある。それを繰り返すことで、娘に何が必要でどんな配慮が必要か、その時その時で考えた方かいいんじゃない?」

「それに、新学期にそんなこと言ったって、みんな顔と名前一致してないから忘れていくし伝わらないよ。」

もう、目から鱗でした。

病気のユニークな特性はたくさんあります。それをいちいち説明したってみんな理解できないでしょう。私も娘の病気を理解するのに何年もかかりました。中途半端なカミングアウトより、幼稚園の時と同じように娘とよい関係を築きながら、話せそうなタイミングの時に伝えればいいやと思うようになりました。

 

心配して興味をもってくれる方だけに詳しく説明することにしました。

最大の難関は、同じ小学1年生の友達への説明

 幼稚園の年中の時には、

「なんで○○ちゃん、昨日休んだの?」

だったのが、

年長、小学生になると、

「なんで○○ちゃんは、よく休むの?」

「なんで○○ちゃんは、よく体育休むの?」

に変わってきます。

さすがですね。みんな成長にともない他者との違いに気づき始めています。

なんで昨日休んだの?」という問いかけには、「昨日は調子が悪かった。」という説明で済ませられるのに、

どうして学校をよく休むのか?」という問いかけは答え方に悩みます。

そこで、私が考えた答え方はこれ。

病院の先生が、行っちゃだめって言ったの~

幼稚園の時には、それで逃げられました。

でも、好奇心旺盛な小学生のお友達は引き下がりません。

ところがある日、娘の友達と話しているうちにひらめきました。

好奇心旺盛な友達に説明する方法

子どもA「なんで、○○ちゃんは、学校よく休むの?」

私   「○○ちゃんは、体が丈夫じゃないの。」

子どもA「なんで、○○ちゃんは。体が丈夫じゃないの?」

私   「なんでだろうね~」

私   「じゃあ、どうして、Aちゃんは、体が丈夫で学校休まないの?」

子どもA「私、早く寝て、たくさんご飯食べてるよ」

私   「○○ちゃんも、早く寝て、ご飯食べてるよ?同じなのになんで?」

子どもA「なんでだろう。」

 

必殺「なんで返し」です。

 

 

結局、どうして病気になるかなんて、運命みたいなものです。特に、難病なんて努力でなんとかなる割合は微々たるものです。その運命について、答えを求めすぎると辛くなります。

物事すべてに理由はあるのかもしれないけれど、理由を考えて生きにくくなるなら、考えることをほったらかしにするのもいいかもしれません。

それに、小学生では娘の病気の理解は難しい。誤解を招くくらいだったら、説明しすぎないようにしようと思ったらすっきりしました。

そこで、子どもでも理解できる、

体が弱いから、熱が出やすい・風邪もひどくなりやすい。

などの、分かりやすいる事実だけを伝えることにしました。

病気だから、体が弱い。という説明はやめました。そのあとに、どんな病気?という疑問を与えてしまうからです。けが・風邪のような分かりやすいものならそれでも良いのですが、理解をこえる病気の説明は、誤解と差別を招くような気がしたのです。

今のところ、「スポーツができる子がいるのと同じように、風邪をひきやすい子もいるんだな」程度の理解を示してくれていて、ホッとしています。

辞書があり、インターネットがあり、日々科学者の皆さんが世の中に起こるいろんな不思議な謎を解明してくれています。でも、どうにもならないことや、理由が分からないことってまだまだたくさんあります。世の中にはまだまだ分からないことがたくさんあるんだよ。ということを、子どもたちにはっきり伝えてもいいんじゃないかと思えました。

だいぶ、娘も慣れてきたようで、「なんで、学校休むの?」と聞かれたら、最終的に「わかんない~。」って答えているようです。今はそれでいいんじゃないかと思っています。

次の難関は、娘自身へのカミングアウト

娘には、まだ病名を伝えていません。やはり、体の臓器についてある程度知っていないと変な誤解と妄想を与えるような気がしたからです。

 

養護の先生や、看護師さんからは、ちゃんと説明した方がよいのでは?というアドバイスをいただいています。けれど、娘が病気を理解できるほどの知性と、自分のことを知りたいという強い欲求が高まった時に伝えたいな~と今のところ思っています。

それが、正しいことかどうかは分かりません。でも、知りたいという欲求を静かに待つのは、小学1年生の今の段階では悪くないのかなと思います。

何かが起きたときに考える作戦です。起こり得るトラブルや困難を回避しようとやりすぎると、自分の可能性をせばめていく気がしてなりません。もちろん、子どもの性格にもよると思いますが。

おわりに

毎日薬をのみ、大学病院へ児童館に通うかのように通院する娘にとって、毎日薬を飲まないこと自体が異常です。そんな娘が自分のアイデンティティを考えるようになった時、いろいろ問題が起きるでしょう。私の知らないところで、辛く悲しい思いをすることもあるでしょう。

でも、それはその時に考えるとして、今はまだ、「自分の体のことがよくわかんな~い」で問題なく過ごせているのなら、「わかんな~い」ままで過ごさせてあげたいなと思っています。それが、正しいかどうかよく分かりません。日々迷いっぱなしです。

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そういう意味では、ブログは自分の気持ちを整理するのにちょうどいいですね。