かばのはこ

病気の子どもと過ごす生活の知恵!

長期入院する子どもにとって、おもちゃより大切なもの

娘はよく入院します。1週間くらいの滞在は、超短い滞在。1か月はよくあるある。それが我が家の当たり前の生活です。今回はそんな入院中の思い出話です。
 
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3歳までは、娘は私さえいればなんとかなりました。けれど、4歳になると親の力だけでは埋められない寂しさを入院生活の中で感じるようになりました。
 
とにかく、暇なのです!
暇が辛い???
贅沢な悩みですよね。
3食ご飯があって寝る場所さえあれば満たされる、、、???
そんなわけない!!狭い空間から一歩も出られないので閉塞感満点です。
 
すると、楽しく遊べるお友だちが、どんな高価なおもちゃよりもかけがえのないものとなります。でも、楽しく遊べるお友だちに会える確率はとても低い。。。同じような遊び方で楽しさを共有できる子に出会えることの方が珍しい。
 
ところが、そんなミラクルなお友だちに4歳の入院で出会ってしまったのです。それは7歳のお姉ちゃん。きっかけは、私がいない間。気がついたら二人で遊んでいました。お互い名前も知らないまま。
 
不思議なもので、○○して遊ぼうか?なんて合図もなければ、いつ遊べる??なんて約束もないのです。二人とも一緒に遊びたくてウズウズしてるから、共有スペースであるプレイルームにお互い待機しているのです。そして、出会った瞬間引き寄せられるように二人で何かを始めるのです。
 
遊ばなかったのは、お姉ちゃんが手術の時だけ。今までも同じ病棟の方がオペをして帰ってくる姿をたくさん見ていたはずなのに、初めて心配そうな顔を見せました。お姉ちゃんの部屋のまわりをいったり来たり。お姉ちゃんが、ようやく歩けるようになったら、手を握りたがるようになりました。
 
その後も、朝起きてから夜眠るまで一緒に過ごし、笑い転げる日々を過ごしていました。
 
けれど、そんな日は長く続きませんでした。喜ばしいことなのですが、お姉ちゃんの方が経過よく、先に退院することになりました。でも、別れが寂しいとか辛いという経験が一度もない娘はそのことがよくわからないようでした。お姉ちゃんがパジャマでなく、外出用のかわいいワンピースを着てお外用の靴を履いた姿を見て、初めてサヨウナラを感じたようです。慌てて、お姉ちゃんにプレゼントの絵を描きました。そして、病棟の入口まで見送りに行きました。
 
入院患者の証であるバンドが切られ、
娘が出られない外への扉が開き、
お姉ちゃんがエレベーターのボタンを押しました。
 
二人ともニコニコしてバイバイをしました。
 
再び外への扉が閉まったとき、娘は、ずーっと抱っこされたまま動きませんでした。目を開いたまま、自分では自由に開けることが許されない閉まった扉一点を見続けていました。泣くことなく固まっていた娘の姿を見て、私の方が泣きたくなりました。
 
娘は、
生まれて初めて、もう二度と会えないであろう「さようなら」を感じたのでしょうか。
まだおうちに帰れないという寂しさを感じたのでしょうか。
 
いずれにせよ、今まで処理したことのない感情が芽生えたように、見えました。
 
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以前こんな記事を見つけました。
教育において第一になすべきことは、道徳を教えることではなく、人生が楽しいということを体に覚え込ませてやることなのである。 永井均(折々の言葉 2015/05/14)
外で遊べない
おもちゃもない
点滴があって、自由もない
 
あるのは
 
膨大な暇な時間と
治療による不快な思い
 
入院中に人生が楽しいなんてことを感じさせられるわけないと思っていましたが、こんな、限られた条件だからこそ、人との出会いがより輝きを放つのかもしれません。
お姉ちゃんと遊んでるときの娘は、幸せそうでした。
 
*もう一つの日記では、なるだけ病気には焦点を絞らず書いていますが、同じ娘の日記です。